初めて鍼灸を受けようと思っている初心者に解説!『はり・おきゅう』って実際にどうなの?
鍼灸や”はり”・”おきゅう”という言葉は聞いたことがある方も多いと思います。
ここでは具体的に鍼灸治療を受けるとどんな効果があったり、どういう理屈で効いているの?という疑問をお持ちの方や
これから受けてみたい!と鍼灸デビューしようと考えている鍼灸初心者の方向けの内容になっています。
また、鍼やお灸はやっぱり怖いって思っている方もぜひ最後までご覧ください。
なお、このブログは厚生労働省が管轄しているeJIM:イージム(evidence-based Japanese Integrative Medicine)
統合医療に関わる情報発信等推進事業のホームページを一部分参考にしています。
目次
鍼灸治療ってどんなの?鍼灸治療の基本や仕組み
鍼灸治療とははり師・きゅう師という国家資格を持つ者が、
鍼(はり)や灸(きゅう)と言われる道具を使って
全身にある経穴(ツボ)や経絡を刺激することで
バランスを整える東洋医学のうちのひとつです。
▶鍼(はり)とは
鍼(はり)は”針”と表記されることもありますが同じ意味です。
材料はステンレスや銀・金などから作られた鍼を経穴(ツボ)・経絡・筋肉などに刺す治療になります。
一般的な鍼の太さは約0.1㎜~0.3㎜ほどです。
これは人間の髪の毛の太さと同じくらいです。
よく比較される静脈注射や筋肉注射で使われる注射針は0.6㎜~0.8㎜で、
特殊なものだと0.2㎜とかなり細い注射針もあるようです。
また近年の鍼はほとんどが使い捨てのステンレス製の鍼です。
ステンレス製の鍼のメリットは安価で、
鍼自体が強く丈夫で体に刺している時に折れたりすることも
ほとんど無いため安全性が高いという点でもよく使用される理由のひとつです。
しかし、治療方法によっては金や銀の鍼を使われる先生もいます。
金や銀の鍼のメリットは人体に対して親和性が高いとも言われています。
また鍼と言っても刺さない鍼もあります。
これは小児鍼や鍉鍼(ていしん)と言って刺さずに皮膚に接触させたり、
擦ったりする施術方法です。
▶お灸(おきゅう)とは
お灸で使われる艾(もぐさ)の原料はヨモギの葉の裏の毛(繊毛)を精製して作られます。
このお灸に使われる艾は粗悪なものから上質なものまで価格帯も様々です。
また艾の使用方法によっても、不純物の多い艾や精製を重ねることで不純物を
極力取り除いた良質な艾まで施術方法によっても使い分けています。
例えば良質な艾は燃焼しきるまでの時間が非常に短いため、身体に直接お灸をする時に使われます。
一方、不純物の多い艾は高温で長い燃焼時間がかかるため灸頭鍼や桝灸(ますきゅう)の治療などに使われることが多いです。
鍼灸治療の歴史
鍼灸の起源はとても古く、2000年以上前に中国で生まれたそうです。
日本には飛鳥時代に仏教と同じ時期に伝えられたと言われています。
その後、明治になって西洋医学が中心の医療に移り変わったため、
明治~大正時代に一度は衰退しましたが、
先人たちの努力もあり昭和22年「あん摩、はり、きゅう、柔道整復等営業法」が公布されました。
結果的に一度衰退した鍼灸がこの頃から世間に広まるようになったと言われています。
▸鍼灸は日本独自の進化を遂げた◂
江戸時代に杉山和一という鍼灸師が鍼管(しんかん:上記画像)を開発し、
全国に鍼管を使った技法を教える塾のようなものが出来て鍼管を使った施術方法が広まりました。
そして、現在も多くの国内の鍼灸師が鍼管を使用した鍼の刺入を行います。
その後、鍼灸が普及していく中で数多くの流派も生まれ、
現在も治療家によって評価方法や治療方法まで様々な考えや方法が存在しています。
鍼灸治療を受けたら体に起こる反応
鍼灸治療を受けたことが無い人の多くは『痛そう・怖い』など不安や恐怖心を抱かれている方が多いと思います。
事実、私自身も鍼灸治療を受けたことが無い頃には恐怖心がありました。
実際に受けてみると、さほど痛みを感じることは無く驚いたのを覚えています。
以下ではよく質問される『鍼やお灸を受けるとどうなるの?』『どういう効果があるの?』ということについて解説します。
人間の体には病気やケガなどを自力で治す自然治癒力や、病原体から体を守る免疫力が備わっています。
体が傷害を受けるとそのシステムが働いて身体に色々な反応が起こります。
例えば異物と戦う白血球を呼び寄せて傷ついた部位からの感染を防いだり、血管を広げて酸素や栄養が豊富なキレイな血液を
呼びこんで新陳代謝を高めたりします。
鍼灸はこのような生体反応を利用することで、皮膚や筋肉など目には見えない小さな傷や火傷を作り
筋肉の血液循環を改善して肩こりや腰痛を治療したり修復を促します。
また人の体に痛みを抑制する色々な仕組みが備わっていることは知られています。
例えば手をぶつけたり、突き指をしたときに咄嗟に手で押さえたり、
痛かったはずが何かに意識をとられていると痛みを忘れていたという経験をされたことがある方は多いと思います。
鍼灸治療の刺激はこのような痛みを抑制する仕組みを働かせ、その結果として鎮痛効果が発揮されます。
また、体性内臓反射といって身体には皮膚や筋肉などに刺激が加えられると
自律神経が支配する内臓などの働きが反射的に調節される仕組みも備わっています。
鍼灸治療で加えられる刺激はその仕組みを利用し自律神経活動を変えることで、血管の調節をしたり臓器の働きを良くしたりします。
その結果としてホルモンバランスが整ったり、血圧が調節されたり、免疫が活性化したりなど全身に多くの効果が引き起こされます。
これが鍼灸治療を続けていると病気にかかりにくくなったり、体調が良くなる理由のひとつになります。
どんな病気に効果があるの?
鍼灸治療はケガの応急処置などには適してはいませんが、
身体の慢性的な痛みや不調などには効果が期待できます。
鍼灸治療の適応症についてはWHO(世界保健機構)が49疾患の草案を紹介します。
頭痛、偏頭痛、三叉神経痛、顔面神経麻痺、メニエール氏病、白内障、急性結膜炎、
近視、中心性網膜炎、急性上顎洞炎、急性鼻炎、感冒、急性扁桃炎、歯痛、抜歯後疼痛、
歯肉炎、急性咽頭炎、急性気管支炎、気管支喘息、食道・噴門痙攣、しゃっくり、
急性・慢性胃炎、胃酸過多症、胃下垂、麻痺性イレウス、慢性・急性十二指腸潰瘍、
急性・慢性腸炎、便秘、下痢、急性細菌性下痢、打撲による麻痺、末梢神経系疾患、
多発性筋炎、神経性膀胱障害、肋間神経痛、頚腕症候群、坐骨神経痛、腰痛、関節炎、夜尿症
以上がWHOが定めた49疾患になります。
ただし、これはWHOが認めたわけではなく、このリストは「臨床経験に基づくもの」であり
必ずしも対照群を置いた臨床試験にもとづくものではない。
さらに特定の疾患を含めたのは、「鍼の有効性の範囲を示すことを意図としているのではない」
つまり鍼灸治療の効果が「WHOによって認められた」あるいは
「研究によって証明された」といった症状・疾患ではないということを知ってほしいです。
WHO benchmarks for the training of acupuncture
当院での鍼灸治療の実績・初めて受けるのに必要なもの。
初めて鍼灸治療を受けられる際はできれば動きやすい服装が望ましいですが、
専用の服の準備もあります。
(他の鍼灸院さんでもあると思いますが事前確認をしましょう。)
治療を受けられる場所によっては専用の服に着替えていただかなければならないこともあります。
当院では腰・肩・首などの筋肉・関節など運動器の痛み・こりに対する治療はもちろん。
妊婦さんの逆子治療や小児鍼・美容鍼と幅広い分野で鍼灸施術を行っております。
また原因不明の痛みや身体の不調などにも積極的に鍼灸治療を行っております。
鍼灸治療は前述したように長い歴史があり、先人の鍼灸師の先生方が多くの実績を残しています。
すべてを科学的に説明することは私には不可能ですが、
現代の科学技術をもってしても説明しきれないことはたくさんあります。
それが人の体はまだ解明されていないことがたくさんあります。
医学として画一的にみる西洋医学もとても大切です。
東洋医学はそれだけでは足りない部分を補うことができます。
今まで病院にかかっていてもなかなか良くならない。
鍼灸治療には興味があるけど…という方はぜひ、お問い合わせください。